はじめに
「あと半年です」「長くても1年でしょう」医師からそう告げられた時、人生の優先順位は一変します。残された時間で何をすべきか、何ができるのか。その問いに直面した時、ほとんどの方が共通した悩みにぶつかります。それは「お金」の問題です。
高度な医療を受けたい。痛みを和らげるための治療を受けたい。または、人生最後に、ずっとやってみたかったことをしたい。そうした願いは、すべてお金に直結しています。
インターネットで「終活」と検索すれば、相続対策、遺言書作成、断捨離など、一般的な終活情報は山ほど出てきます。しかし、「余命が限られている中で、今すぐにお金が必要」という切実な状況に対応した情報は、ほぼありません。
今回のコラムは、そうした「時間がない終活」の現実に向き合い、迅速に大きな資金を調達する実用的な方法について、詳しく解説します。
余命宣告後の終活で直面する「お金の問題」
高額な医療費の現実
余命宣告を受けた方の多くが、直面するのが「高額な医療費」の問題です。
- 保険診療の自己負担
日本の医療保険制度では、診療費の30%(70歳以上は10~20%)が自己負担です。末期がんの治療、難病の最先端治療、緩和ケアなど、様々な治療にかかる費用は、月額で数十万円に及ぶことも珍しくありません。 - 保険外診療(自由診療)
より効果的な治療を求めると、保険の対象外となる自由診療を選ぶことになります。最新のがん治療、免疫療法、ホルモン療法など、有望な治療の多くは、自由診療で、1回の治療が数十万円~100万円以上することもあります。 - 緩和ケアと在宅医療
痛みを和らげるための緩和ケア、自宅での療養を支えるための在宅医療サービスなど、これらも相応の費用がかかります。 - 介護施設やホスピスの費用
病院から退院後、在宅での療養が難しい場合、介護施設やホスピスでのお世話になることになります。こうした施設の利用費は、月額で10万円~30万円以上に及びます。
実際に、末期がん患者の多くが、1年間で200万円~500万円の医療費を支出しています。公的制度による軽減措置もありますが、それでも個人負担は大きいのです。
人生最後の体験に必要なお金
医療費と同じく重要なのが、「人生最後にやってみたい体験」に必要なお金です。
- 家族との時間
大事な家族と、最後に思い出を作りたい。近所の温泉に行く。海を見に行く。孫と一緒に過ごす。こうした体験には、交通費、宿泊費、食事代など、相応の費用がかかります。 - 子ども・孫へのプレゼント
人生最後に、子どもや孫に何かしてあげたい。教育資金を残したい。そうした想いを実現するためには、数百万円の資金が必要になることもあります。 - 趣味や夢の実現
ずっとやってみたかったこと。海外旅行、美しい風景を見に行く、好きな食べ物を思う存分食べる。体力が許す限り、人生最後の時間を充実させたいというのは、自然な願いです。 - 寺院への寄付やお布施
精神的な安らぎを求めて、寺院への寄付やお布施を考える方も多くいます。
こうした「人生最後の体験」は、決して贅沢ではなく、残された時間を充実させるために、極めて重要な位置付けにあるのです。
従来の資金調達方法の問題点
余命宣告後に資金が必要になった場合、一般的には以下の方法が考えられます。しかし、これらは「時間がない」という状況に適さないのです。
仕組み 自宅を担保に融資を受け、生存中は利息のみを支払い、死亡後に自宅が売却されて一括返済される制度です。
問題点
- 申請から融資実行まで、通常3~6ヶ月かかる
- 書類作成が非常に複雑で、多くの書類が必要
- 銀行の担当者との面談が何度も必要
- 自宅の評価手続きに時間がかかる
- 生存中の利息負担が発生する
- 配偶者がいる場合、配偶者の了承が必須
- 手続きの途中で体調が悪化すれば、申請そのものが困難になる可能性がある
「時間がない終活」に適さない理由 半年~1年という限られた時間の中で、3~6ヶ月も手続きに費やすことは、実質的に不可能です。
仕組み 自宅を売却して現金を得る一方で、その後も売却先に家賃を払って住み続ける方法です。
問題点
- 自宅の売却手続きが必要(1~3ヶ月かかる)
- 不動産鑑定、契約書作成など、多くの書類が必要
- 売却後の家賃が市場相場より高くなることが多い
- 売却後も毎月の家賃負担が続く
- 家賃が支払えなくなれば、立ち退きを求められる
- 相続人に対する説明と同意が複雑になる
- 体調が悪化して手続きが進まないリスク
「時間がない終活」に適さない理由 自宅の売却には時間がかかり、その後も家賃負担が残ります。限られた時間を有効活用したい場合、毎月の家賃負担は、本来の目的から外れています。、3~6ヶ月も手続きに費やすことは、実質的に不可能です。
仕組み 生命保険の解約返戻金の一定割合(通常70~90%)を借りることができる制度です。
問題点
- 生命保険に加入していることが前提
- 解約返戻金がない保険(掛け捨て型)では利用不可
- 借入額が少ないことが多い(通常、数十万円程度)
- 利息が発生する
「時間がない終活」に適さない理由 高額な医療費や人生最後の体験に必要な数百万円を賄うには、金額が不足していることがほとんどです。的から外れています。、3~6ヶ月も手続きに費やすことは、実質的に不可能です。
仕組み 子どもや孫など、親族からお金を借りる方法です。
問題点
- 親族に頼りにくい心理的負担
- 借りるお金の額が大きい場合、親族間の問題が生じることもある
- 返済の見通しが立たない
- 相続争いの火種になる可能性
「時間がない終活」に適さない理由 信頼関係を損なわせず、親族からの援助を得るには、相応の時間と心理的な準備が必要です。
「時間がない終活」に最適:不動産担保ローン
こうした従来の方法では対応できない「時間がない終活」に、最適なのが「不動産担保ローン」です。
不動産担保ローンの仕組み
自宅やその他の不動産を担保に、融資を受ける方法です。融資金は自由に使え、医療費にあてることも、人生最後の体験に充てることも可能です。
不動産担保ローンが「時間がない終活」に最適な理由
理由
- 迅速な資金調達が可能
最大の利点は、スピードです。不動産登記簿謄本さえあれば、当日に仮審査が可能で、翌日の面談で契約成立。その翌日には、融資金が振り込まれることもあります。リバースモーゲージやリースバックに3~6ヶ月かかるのに対し、わずか2~3日で大金を手にできるのです。
限られた時間を有効活用したい場合、この迅速性は何よりも大切です。 - 書類が少ないため、体力的負担が少ない
リバースモーゲージでは、多くの書類や面談が必要ですが、不動産担保ローンは必要な書類が比較的少なく、手続きはシンプルです。
・不動産登記簿謄本
・固定資産税評価証明書
・身分証明書
・印鑑証明書
体調が悪い中でも、これらの書類を揃えることは比較的容易で、面談も通常1~2回で済みます。 - 所有権を移さずにお金を借りられる
不動産を売却してお金を得る方法(リースバック含む)では、不動産の所有権が移ります。しかし、不動産担保ローンは、不動産の所有権はあなたのままです。
つまり、あなたの子どもや孫に対して、「この不動産は君たちに残してやりたい」という親心を実現できるのです。
また、不動産がなくなることで、「人生の土台がなくなる」という心理的な不安も軽減されます。 - 生存中の義務が明確で、相続人への負担が少ない
不動産担保ローンの返済義務は、借り手にあります。もし返済中に亡くなった場合、相続人に返済義務が生じます。
しかし、ローン金額が少なければ、相続人の負担も小さくなりますし、計画的に返済すれば、相続人の負担をゼロにすることも可能です。一方、リバースモーゲージでは、死亡後に自宅が売却されるため、相続人が自宅を相続することができません。これは、家族に対する大きな迷惑になる可能性があります。 - 余命が限定されている場合の対応策が明確
医療機関から「あと半年」と告げられた場合、従来のローンでは返済の見通しが立たないため、申し込みそのものが難しくなります。
しかし、不動産担保ローンは、残された人生の期間を念頭に置いて、融資額と返済期間を調整できる柔軟性があります。
例えば、「月々の返済ができなければ、満期時に一括返済する」という条件も可能です。
実例:「時間がない終活」で不動産担保ローンを活用した事例
会社役員のAさんは、検診で末期がんと診断されました。医師から「治療の選択肢がいくつかあるが、最先端の免疫療法なら、延命の可能性もある。ただし、自由診療で1年間で約500万円の費用がかかる」と説明されました。
Aさんは、これまでの人生で、新しい治療法による治療を受けたいという強い想いがありました。しかし、手持ち資金は150万円のみ。足りない350万円をどう調達するか、という状況に陥ってしまいました。
銀行のカードローンに申し込むと、「返済見通しが立たない」という理由で落とされました。リバースモーゲージについて調べてみても、手続きに3~6ヶ月かかるということで、時間がありません。
そこで、Aさんは所有している投資用マンションを担保に、不動産担保ローンを申し込みました。翌日の面談で350万円の融資が承認され、その翌日には資金が振り込まれました。
Aさんは、新しい治療法に挑戦することができました。その後、想定より長く生存でき、子どもたちとの時間も充分に確保できたとのことです。
年金生活をしていた女性Bさんは、大病で入院することになりました。医師から「後1年程度でしょう。その間に、緩和ケアと在宅医療サービスを受けることをお勧めします。月額30万円程度の費用がかかりますが」と説明されました。
Bさんは、痛みをできるだけ軽くして、最後の時間を家族と過ごしたいという強い願いを持っていました。しかし、年金では緩和ケアの費用をまかなえません。
また、Bさんは長年、海外での人道支援に関心を持っていました。人生最後に、子ども連れで、その支援地域を訪問したいと考えていたのです。必要な費用は約200万円でした。
リースバックの提案を受けましたが、自宅を手放すことに強い抵抗がありました。「この家は、夫と一緒に建てた思い出の家。死ぬまでここで暮らしたい」
不動産担保ローンなら、所有権を残したまま、必要な資金を調達できることを知り、申し込みました。200万円の融資を受けた翌週には、孫たちを連れて人道支援地域へ旅立ちました。
その後、自宅で緩和ケアを受けながら、家族との時間を大切にして、最後の時間を過ごすことができたのです。
自営業のCさんは、親から相続した空き家を所有していました。その後、健康診断で深刻な病気が見つかり、「治療には積極的な対応が必要だが、その間は仕事ができなくなるだろう」と医師に告げられました。
Cさんは、相続空き家を売却して資金を得ることも考えましたが、売却には3ヶ月以上の時間がかかります。また、相続空き家は市場価値が低く、売却してもさほどの金額にはなりません。
相続空き家を担保に不動産担保ローンに申し込んだところ、300万円の融資が可能だと判断されました。2日後には資金を手にすることができたのです。
Cさんはこの資金で、質の高い医療を受けることができ、その後、事業の後継者問題も段階的に解決することができました。
不動産担保ローン利用時の留意点
不動産担保ローンは「時間がない終活」に最適ですが、利用時には以下の点に留意する必要があります。
留意点
- 返済計画を相続人に伝える
不動産担保ローンの返済義務は、借り手から相続人へ引き継がれます。借り手が亡くなった後、相続人が返済義務を引き継がないようにするためには、元々の融資額を少なめにして、借入期間中に計画的に返済することが重要です。または、相続人に対して、「このローンについては、このように対応してほしい」という遺言を残しておくことも有効です。 - 金利と返済期間を確認する
不動産担保ローンの金利は、通常12~15%程度です。返済期間は、3年から15年程度の範囲で設定できることがほとんどです。
残された人生の期間を考慮して、月々の返済額が無理のない範囲に設定されているか、確認することが重要です。 - 融資金の用途は自由だが、計画的に使う
不動産担保ローンで得た資金は、医療費、人生最後の体験、相続対策など、自由に使うことができます。
しかし、だからこそ、「残された時間で、何に使いたいのか」を明確にしておくことが重要です。計画性なく使ってしまえば、途中で資金が尽きる可能性があります。 - 所有権は自分のままだが、担保権は金融機関にある
不動産担保ローンを組むと、その不動産には金融機関の「抵当権」が設定されます。これは、返済できなくなった場合、金融機関がその不動産を売却する権利を持つ、ということを意味します。ただし、計画的に返済していれば、この抵当権が実行されることはありません。 - 健康状態の悪化に備える
余命が限定されている場合、予想より早く状態が悪化することもあります。融資を受けたら、できるだけ早期に返済計画を立て、相続人に対して「このローンのことはこう処理してほしい」という指示を明確にしておくことが、残された家族への最後の贈り物になります。
リバースモーゲージ、リースバック、不動産担保ローンの比較
| 項目 | リバースモーゲージ | リースバック | 不動産担保ローン |
|---|---|---|---|
| 資金までの時間 | 3~6ヶ月 | 1~3ヶ月 | 2~3日 |
| 手続きの複雑さ | 非常に複雑 | 複雑 | シンプル |
| 必要な書類 | 多い | 多い | 少ない |
| 身体的負担 | 高い | 中程度 | 低い |
| 所有権 | 残る | 移る | 残る |
| 生存中の義務 | 利息のみ | 家賃支払い | ローン返済 |
| 月々の負担 | なし | あり(高め) | あり(設定可能) |
| 金利・手数料 | 中程度 | 高い | 中程度 |
| 相続人への負担 | 高い(自宅売却) | 高い(売却済み) | 調整可能 |
| 「時間がない終活」への適性 | ★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
まとめ:余命宣告後の「今」を大切にするために
「あと半年です」そう告げられた時、人生に残された時間を何に使うかは、その人の自由です。高度な医療を受けるのか、人生最後の体験に充てるのか、或いは、子どもたちへの最後の贈り物に充てるのか。
従来の終活情報は、相続対策や断捨離など、「死後」に焦点が当たっています。しかし、「時間がない終活」は違います。焦点は、「今」「現在」「残された人生」にあるのです。
医療費が足りないから高度な治療を諦める。体験したい旅行を諦める。子どもたちへの想いを表現できずに終わる。そうした後悔を避けるためには、迅速に大きな資金を調達することが重要です。
不動産を所有している方であれば、その不動産は、単なる資産ではなく、「残された人生を充実させるための道具」になり得るのです。
リバースモーゲージやリースバックの複雑な手続きに時間を費やすのではなく、迅速に資金を調達して、本当にやりたいこと、本当に必要な医療、本当に大切な人との時間に充てる。
不動産担保ローンは、そうした「時間がない終活」を実現する、シンプルで迅速な方法なのです。
限られた時間を有効活用したいとお考えの方、不動産を所有していながら、その活用方法に迷っている方。一度、不動産担保ローンの利用を検討してみてください。
その決断が、残された人生を、本当の意味で充実させるための第一歩になるのです。

