資金調達の手段にはさまざまな方法がありますが、その中でも「バックファイナンス」は、特定の資産を活用して新たな資金を確保する手法として注目されています。特に、不動産を所有しているが現金が不足している場合や、新たな投資を考えている場合に有効な手段です。
本記事では、バックファイナンスの仕組みやメリット・デメリット、具体的な活用方法について詳しく解説します。

1. バックファイナンスとは?
1.1 バックファイナンスの基本概念
バックファイナンスとは、すでに所有している不動産を担保にして融資を受ける資金調達方法のことを指します。主に、
- 不動産を担保に資金を借り、
- その資金を使って別の不動産を取得する、
- または運転資金や事業資金として活用する
といった形で利用されます。
1.2 一般的な用途
バックファイナンスは、主に以下のようなシチュエーションで活用されます。
- 不動産仕入資金の資金調達:手持ちの不動産を担保に、新たな物件を取得する。
- 事業資金の確保:会社が所有する不動産を担保に、運転資金を調達。
- 資産の有効活用:不動産を売却することなく、キャッシュフローを確保。
2. バックファイナンスの仕組み
2.1 典型的な融資スキーム
バックファイナンスの基本的な流れは以下の通りです。
- 不動産の担保価値を評価
- 金融機関や貸金業者から融資を受ける
- 資金の用途に応じた活用(不動産購入、事業運営、投資など)
- 返済は長期的なプランで進める
2.2 具体的な例
たとえば、不動産業者様が新たな収益物件を購入したい場合、すでに所有している賃貸物件を担保に融資を受け、その資金を新たな物件の取得費用に充てることができます。
3. バックファイナンスのメリットとデメリット
3.1 メリット
- 手元資金なしでも資産運用が可能 バックファイナンスを活用すれば、不動産を売却せずに資金を確保できるため、資産を活かした資金調達が可能になります。
- 大口資金の調達が可能 担保となる不動産の価値によりますが、通常の無担保ローンよりも高額の資金調達が可能です。
- 低金利での借入が可能 無担保ローンに比べ、担保付きの融資は金利が低く設定されることが一般的です。
3.2 デメリット
- 返済不能時のリスク 融資を受けた後、返済が滞ると不動産が差し押さえられ、競売にかけられるリスクがあります。
- 借入可能額は担保評価に依存 不動産の評価額が低い場合、希望する金額を借りることが難しい場合があります。
- 売却時の自由度が制限される 担保が設定されるため、担保権者の同意なしには不動産の売却が難しくなることがあります
4. バックファイナンスの活用事例
4.1 不動産投資家のケース
Aさんは、賃貸マンションを所有しており、新たにもう1棟の購入を計画していました。しかし、手元資金が不足していたため、所有するマンションを担保にバックファイナンスを活用。融資を受けた資金で新しいマンションを取得し、家賃収入を増やすことに成功しました。
4.2 事業資金の確保
B社は、製造業を営む企業で、新工場を建設するための資金が必要でした。会社が所有する土地を担保にバックファイナンスを活用し、銀行から融資を受けて工場の建設費用を賄いました。
5. バックファイナンスを利用する際の注意点
5.1 融資条件をしっかり確認
- 金利、返済期間、手数料を明確にする
- 途中返済の可否や違約金の有無をチェック
5.2 返済計画を慎重に立てる
無理のない返済計画を立てることが重要です。収益物件を購入する場合は、賃料収入でローンを返済できるかどうかを事前にシミュレーションしましょう。
5.3 信頼できる金融機関を選ぶ
バックファイナンスを提供する金融機関は多くありますが、契約内容が不明瞭な業者も存在します。事前に評判や口コミを調査し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
6. まとめ
バックファイナンスは、既存の不動産を活用して新たな資金を調達する有効な手段です。
バックファイナンスの活用ポイント
- 不動産を担保にして高額資金を調達できる
- 低金利での借入が可能
- 資産を売却せずにキャッシュフローを確保できる
しかし、返済リスクや融資条件には十分な注意が必要です。活用を検討する際は、専門家と相談しながら慎重に進めることをおすすめします。
執筆者:石川 慶(行政書士・宅地建物取引士・貸金業務取扱主任者)