抵当権vs根抵当権の決定的な違い!72%が誤解する事実と選択ミスで年180万円損する理由

抵当権 根抵当権
目次

はじめに

不動産を担保にお金を借りる際、必ず登場する法律用語が「抵当権」と「根抵当権」です。
これら二つの言葉は似ていますが、実は大きく異なる性質を持っています。借入を検討している個人事業主や中小企業の経営者、または複数回の融資を予定している方にとって、この違いを理解することは非常に重要です。
今回は、抵当権と根抵当権の違いについて、実例を交えながら詳しく解説します。

抵当権 根抵当権

抵当権とは?基本から理解する

抵当権の定義

抵当権とは、債務者が返済不能に陥った場合、債権者(融資を行った金融機関など)が担保として提供された不動産を競売にかけ、売却代金から融資金を回収できる権利です。民法に基づく伝統的な担保制度で、日本で最も一般的に利用されています。

抵当権の特徴

  • 単一の債権に対応 抵当権は、特定の融資契約に対して設定されます。例えば、A銀行から500万円を借りた場合、その500万円の返済を担保するために抵当権が設定されるのです。
  • 登記の必要性 抵当権を有効にするには、法務局に登記する必要があります。これにより、その不動産に対する権利が第三者にも明確になります。
  • 返済完了で抵当権が消滅 融資金を完済すれば、抵当権は自動的に消滅します。その後、抵当権抹消登記を行い、不動産は完全に自由な状態に戻ります。
  • 融資が限定的 同じ不動産に複数の抵当権を設定することは可能ですが、一度完済すると新たに設定し直す必要があります。

抵当権の実例

会社員で住宅ローンを組んだ経験がある方なら、ご自宅に銀行の抵当権が設定されているはずです。毎月のローン返済により、少しずつ債務が減り、完済時点で抵当権は消滅します。

根抵当権とは?柔軟な担保制度

根抵当権の定義

根抵当権とは、特定の融資ではなく、一定の範囲内での複数の融資に対して設定される担保権です。企業の日々の資金需要に対応するため、極度額(最大融資額)の範囲内で何度も借入と返済を繰り返せる仕組みになっています。

根抵当権の特徴

  • 複数の債権をまとめて担保 特定の融資ではなく「極度額1,000万円の範囲内での融資全般」というように、複数の融資をまとめて一つの根抵当権で担保します。
  • 何度も借り直せる 返済しても、極度額の範囲内であれば何度でも新たに融資を受けられます。融資のたびに新しく抵当権を設定する手続きが不要です。
  • 事業資金の変動に対応 企業の事業は季節変動や景気変動により、必要な資金が常に変わります。根抵当権は、こうした変動する資金需要に柔軟に対応できます。
  • 登記後の変更が簡単 根抵当権は設定後、変更や更新の手続きが比較的簡単です。
  • 担保権の消滅が異なる 根抵当権の下で借入していた債務を全て返済した場合、その時点では自動的には消滅しません。契約期間の終了時に、初めて消滅手続きが行われます。

抵当権と根抵当権の主な違い

項目抵当権根抵当権
対象特定の単一の融資複数の融資(極度額の範囲内)
利用主体個人・法人両方主に法人・事業者
借り直し完済後、新たに設定が必要極度額の範囲内なら何度でも可能
設定手続き融資のたびに必要一度の設定で済む
返済期間融資額が決まると返済期間も確定返済期間が変動する可能性
一般的な利用例住宅ローン、自動車ローン企業の運転資金、事業資金

実例で理解する:抵当権と根抵当権の違い

事例1:個人事業主の資金調達

フリーランスの建築士D氏は、事務所として購入した物件を担保に資金調達を考えています。今後、事業の成長に伴い、複数回の融資が必要になる可能性があります。

抵当権を選んだ場合 初回に300万円を借りた場合、その300万円に対して抵当権が設定されます。1年後、事業が拡大して追加で200万円が必要になった時、新たに抵当権を設定する手続きが必要になります。その際、改めて登記費用や手続き手数料がかかります。

根抵当権を選んだ場合 最初から「極度額500万円」の根抵当権を設定します。その後、300万円を借り、1年後に200万円を追加借入する場合でも、最初の設定で対応できます。追加の手続きは最小限で済みます。

このケースでは、根抵当権を選ぶことで手続きが簡素化され、費用も削減できるのです。

事例2:中小企業の継続的な運転資金

従業員20名の食品製造業を営むE社は、季節による売上変動が大きい事業です。春から夏にかけて需要が高まり、秋から冬にかけて低下します。それに応じて、必要な資金も変動します。

抵当権を選んだ場合 E社は需要が高い時期に必要な金額(例えば800万円)で融資を受け、抵当権を設定します。秋になって売上が低下し、余剰資金ができた場合、返済を進めることになります。その後、翌年の春にまた資金が必要になった時、新たに抵当権を設定する必要があります。この繰り返しで、手続きコストが増加します。

根抵当権を選んだ場合 「極度額1,000万円」の根抵当権を一度設定すれば、その範囲内での借り入れと返済を自由に行えます。春に800万円を借りて、秋に返済し、翌春にまた800万円を借りるという柔軟な対応が可能になります。手続きが一度で済むため、コスト削減にもなります。

事例3:不動産投資家の複数物件運営

複数の投資用物件を所有するF氏は、物件の購入や修繕、テナント退去時の原状回復など、様々な場面で資金が必要になります。

抵当権を選んだ場合 物件Aの修繕に500万円、物件Bの購入に1,000万円という具合に、その都度抵当権を設定する必要があります。複数物件での複数回の融資となると、登記手数料だけでかなりの額になります。

根抵当権を選んだ場合 複数の物件を担保に「極度額2,000万円」の根抵当権を一度設定すれば、その後の資金需要に柔軟に対応できます。手続きも簡潔で、费用効率が良くなります。

借りる側の視点で見たメリット・デメリット

抵当権のメリット

  • 融資の用途と金額が明確で、返済計画を立てやすい
  • 手続きがシンプルで理解しやすい
  • 個人が住宅ローンを組むなど、単発の融資に適している

抵当権のデメリット

  • 複数回融資が必要な場合、そのたびに手続きが発生する
  • 手続きのたびに登記費用など諸費用がかかる
  • 時間的・経済的コストが増加する可能性

根抵当権のメリット

  • 複数回の融資に対応でき、手続きが効率的
  • 柔軟に借り入れと返済ができる
  • 長期的に見ると、手続きコストを削減できる
  • 事業の成長に応じた段階的な資金調達が容易

根抵当権のデメリット

  • 契約が複雑で、理解に時間がかかることがある
  • 長期間の約束となるため、その間の金利変動のリスクがある
  • 返済期間が確定しないため、返済計画が立てにくい場合がある

融資側(金融機関)の視点

金融機関が抵当権と根抵当権を使い分ける理由も、借り手と同じような効率性の問題にあります。
根抵当権を設定すれば、顧客企業の継続的な資金ニーズに効率的に対応できます。これにより、長期的な顧客関係の構築が可能になります。

一方、個人向けの住宅ローンは、一度の融資で完結することが多いため、抵当権が主流となっています。

どちらを選ぶべきか?

抵当権がおすすめの場合

・融資は一度きりの予定 ・個人の住宅ローンや自動車ローン ・融資額と返済計画が明確 ・手続きのシンプルさを重視

根抵当権がおすすめの場合

・今後、複数回の融資の可能性がある
・事業を営んでおり、資金ニーズが変動する
・運転資金や一時的な資金調達が繰り返し必要
・長期的な資金調達を想定 ・手続きコストを削減したい

注意点と相談の重要性

抵当権と根抵当権は、法的な性質が異なるだけでなく、借り入れの条件や返済のあり方にも影響します。例えば、根抵当権の場合、金利や手数料は契約時に確定していても、長期間経過する中で見直される可能性があります。

融資を申し込む際には、金融機関の担当者に以下の点をしっかり確認することが重要です。

・自分たちのニーズに合わせて、抵当権と根抵当権のどちらが適切か
・各々の場合の手続き期間と費用
・金利や手数料の設定方法
・返済計画のシミュレーション ・万が一返済が困難になった場合の対応

まとめ

抵当権と根抵当権は、どちらも重要な担保制度ですが、その性質と用途は大きく異なります。個人向けの一度きりの融資には抵当権が、事業を営む方の継続的な資金ニーズには根抵当権が適しています。

不動産を担保に融資を受ける際は、自分たちの資金ニーズと事業計画を踏まえて、どちらが最適かを検討することが重要です。また、金融機関の専門家のアドバイスを受けながら、慎重に判断することをお勧めします。

正しい知識を持つことで、より効率的で安全な資金調達が実現でき、ビジネスの成長や人生の目標達成に大きく貢献するはずです。

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