後順位抵当権とは?優先順位とリスク、活用法を解説

不動産を担保に融資を受ける際に、「後順位抵当権」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。抵当権は、債権者が不動産を担保として設定する権利ですが、複数の金融機関や貸金業者が同じ不動産に抵当権を設定することもあります。このとき、最初に設定された抵当権を「第一順位抵当権」と呼び、それ以降に設定されたものを「後順位抵当権」といいます。

本記事では、後順位抵当権者とは何か、そのリスクや活用方法について詳しく解説します。

後順位抵当権
目次

1. 後順位抵当権者とは?

1.1 抵当権の順位とは

抵当権の順位は、登記の順番によって決まります。たとえば、以下のような場合を考えます。

  • 第一順位抵当権者:A銀行(融資額5,000万円)
  • 第二順位抵当権者:B貸金業者(融資額2,000万円)

この場合、万が一、債務者が返済不能になり担保不動産が競売にかけられた場合、A銀行(第一順位抵当権者)が優先的に弁済を受け、それでも余剰があればB貸金業者(後順位抵当権者)に支払われるという仕組みになっています。

1.2 後順位抵当権の設定

一般的に、個人の住宅ローンなどでは後順位抵当権を設定するには、第一順位の抵当権者(金融機関など)の承諾が必要になる場合があります。

特に個人の銀行の住宅ローンなどでは、追加の抵当権設定を制限していることがあるのではないでしょうか。融資を受ける前に確認が必要です。

法人借入の場合は特にそのような場面に接したことは多くありません。1年以内の短期借入でしたら、金融機関もわからないです。

金融機関が嫌がるのでと資金需要者から言われたこともありますが、そのような場合でもアライアンス株式会社では別の方法を提案して融資までこぎつけた経験もあります。

2. 後順位抵当権者のリスク

2.1 競売時に弁済されない可能性

後順位抵当権者にとって最大のリスクは、担保不動産の売却額が第一順位の債務を超えない場合、自分の債権が弁済されないことです。

  • 担保不動産の評価額:5,000万円
  • 第一順位の債務(A銀行):4,800万円
  • 第二順位の債務(B貸金業者):2,000万円

この場合、競売で5,000万円で売却されても、A銀行が4,800万円を回収した後、残りの200万円しかB貸金業者に配分されません。そのため、後順位の融資は回収リスクが高いとされています。

ただし、当社みたいな貸金業者は上記のリスクも十分に加味しながら融資を実行しているので当然の帰結となります。

2.2 優先順位の影響

後順位の抵当権者は、競売時に上位の抵当権者に完全に依存することになります。たとえば、第一順位の金融機関がローンのリスケジュールを行うと、後順位の抵当権者は何の決定権も持てません。

2.3 金利が高めに設定される傾向

一般的に、後順位の貸金業者はリスクを考慮して、金利を高めに設定する傾向があります。これは、第一順位の債務が優先されるため、融資回収の確実性が低いことが要因です。

3. 後順位抵当権の活用方法

3.1 追加融資の活用

すでに住宅ローンや事業用融資を受けている場合でも、追加資金が必要な場合に後順位抵当権を利用することができます。

  • 事業拡大のために追加で2,000万円を調達
  • 自宅を担保にしているが、まだ担保余力がある
  • 緊急の資金確保が必要なため、後順位抵当権を設定

このようなケースでは、スピーディーな資金調達が可能です。

3.2 共有持分の融資

不動産の共有者が複数いる場合、持分ごとに後順位抵当権を設定することができます。例えば、兄弟が相続した不動産で、それぞれの持分を活用して資金を調達する方法です。

3.3 借り換えによる資金確保

後順位の抵当権を活用して、金利の高い借入れを低金利のものに借り換えることも可能です。

  • 以前に高金利の無担保ローンを借りたが、後順位抵当権を設定すれば低金利で借り換えができる
  • ファクタリングの金利が高いため、不動産担保の後順位抵当権を設定して一括借り換えができる。
  • 結果として、返済負担を軽減できる

4. 後順位抵当権を設定する際の注意点

4.1 事前に金融機関と相談

後順位抵当権の設定には、第一順位の抵当権者(銀行など)の承諾が必要な場合があります。事前に契約書の確認などが重要です。

4.2 競売リスクを理解する

担保不動産が競売になった場合、後順位の債権者は弁済を受けられない可能性があるため、リスクを十分に考慮したうえで融資を受けるべきです。貸金業者は上記のリスクは十分承知しているのでそこまで問題となりません。逆に一般の後順位債権者は上記のリスクを検討したほうがいいでしょう。

4.3 金利・契約内容を慎重に確認

後順位抵当権の融資は、金利が高くなる傾向があるため、契約内容をしっかりと確認し、将来的な返済計画を立てることが重要です。

5. まとめ

後順位抵当権は、不動産の価値が高いと思われる場合は追加資金の調達や事情資金の確保など利用が可能となる場合もあります。

後順位抵当権を活用するポイント

  • 競売時の弁済順位を理解する
  • 個人の住宅ローンの場合など金融機関と事前に相談し、承諾を得る
  • 金利や契約条件を慎重に確認する

資金調達の手段として後順位抵当権の活用を検討される方は、アライアンス株式会社(当社)にお気軽にご相談ください。申込から審査、融資まで急な資金需要でも迅速に対応いたします。

執筆者:石川 慶(行政書士・宅地建物取引士・貸金業務取扱主任者)

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