消費者金融などからの借入が年収の3分の1を超えると、それ以上の借入ができなくなるとされる「総量規制」。
昔の闇金の横行で多重債務者を作らないために作られた規制ですが、ものすごくやっかいな規制です。人の事情は本当にさまざまで、規制に当てはまるのか当てはまらないのかグレーの事案も多々あります。
貸金業者としても総量規制に引っかかる行為をしてしまうと登録免許停止期間〇〇日や業務改善命令を受けたくないので、なかなか手を出しづらいところでもあります。
この規制により、「もう借りられない……」と諦めてしまう方も多いですが、実は総量規制の対象外となる借入方法や、合法的に借入可能なケースも存在します。

この記事では、「総量規制オーバーでも借りれた!」という実際の事例を交えながら、安全かつ現実的な資金調達方法をご紹介します。くれぐれも、闇金や個人間融資掲示板などの違法な手段には手を出さず、正規の方法を選びましょう。
1. 総量規制とは何か?
総量規制とは、「貸金業法」により定められた制度で、消費者個人が借り入れられる金額の総額を年収の3分の1までに制限する仕組みです。たとえば、年収300万円の方であれば、合計100万円までしか借り入れできないということになります。
上記の例でいうと複数社に掛け合っても答えは同じで合計100万円しか借りられません。
そのうち既に50万円借りていると、あと50万円しか借りられません。
総量規制の対象となるのは主に、貸金業者による個人の貸付です。これは個人事業主も含まれます。
個人の銀行カードローンや住宅ローンは対象外ですし、法人はそもそも総量規制の対象外です。
2. なんで総量規制が出来たのか
多重債務問題の深刻化:
1980年代以降、消費者金融の利用が拡大し、高金利での貸し付けや過剰な貸し付けが横行していました。 これにより、多くの人々が複数の業者から借金を重ね、返済困難に陥る多重債務問題が深刻化しました。
法改正の動き:
2006年には、抜本的な改正が行われ、返済能力を超えた貸し付けを禁止することで、借り手の保護を目的に総量規制が導入されることが決定されたのです。
3. 総量規制オーバーでも借りられた実例年収の三分の一以上の借入が出来た事例
事例➀:売却予定の不動産の売却代金により返済される借入
- 年収450万円で既に150万円の借入があった個人の男性
- 長年両親と一緒に住んでいたが、こと度相続により自宅を相続した。ただ今の自宅を売却してもっと適当な住まいを探すことに決めた
- 不動産業者にそのことを相談して、売却に向けた仲介を頼んだ
- ただ売却にあたってお金が諸々必要なため、ノンバンクに融資を申し込んだ
- 総量規制の除外という名目で融資を受けられた
- その後自宅は売却され売却代金から無事に返済された
事例②:個人事業者に対する貸付として事業資金500万円
- 個人開業して10年目だが、投資に失敗して資金繰りが苦しい状態の男性(個人事業主)
- これから繁忙期の仕入れ資金が必要だったが、資金がない
- ノンバンクに事業計画書を提出して不動産担保ローンで対応
- 繁忙期後資金繰りが安定して無事返済を終えた
事例➂:住まいとは別の不動産を持っていたため借りられた
- 長年管理できずにいた空家を所有していた
- ただ、思い出がたくさんつまった家なので今のところ売却はしたくない
- 緊急でお金が必要となり、ノンバンクにお願いした
- 個人でも不動産担保ローンを組んで融資を受けらた
4. 総量規制の対象外となる代表的なもの
次のような借り入れは総量規制の対象外となります。
- 不動産担保ローン(居宅以外)ただし居宅はダメ
- 借り手から有利な条件での借換え
- 住宅リフォーム
- 個人事業者向け貸付(事業計画書が必要)
- 創業資金
- 高額療養費のため
- 売却予定の不動産による貸付
これらは「貸金業法」において特別な扱いを受けており、年収の3分の1を超えても借入が可能です。
5. 闇金・個人間融資掲示板の危険性
「総量規制オーバー」「即日OK」「ブラックでもOK」と謳うSNSや掲示板は要注意です。
多くが無登録営業の闇金や詐欺グループです。
闇金利用のリスク
- 法外な金利(年利200%以上)
- 執拗な取り立て、脅迫
- 家族・勤務先への連絡
- 個人情報の悪用
SNSで見かける「個人間融資」は、その多くが違法または危険な取引であるため、絶対に利用してはいけません。
6. 安全に借入するためのポイント
- 必ず貸金業登録のある業者を利用する
- 金融庁または都道府県の公式サイトで登録番号を確認
- 「総量規制対象外」の制度を知る
- 担保がある場合は、不動産担保ローンを活用
7. アライアンス株式会社が取り扱っている総量規制対象外の代表的なもの
アライアンス株式会社では、総量規制の対象外(個人)の代表的なものは以下のとおりです
- 個人でも居宅以外の不動産を担保にした不動産担保ローン ⇨現に住んでいる居宅はダメです。居宅以外のアパートやマンション、親から相続した戸建てや空き家などです。
- 売却予定の不動産の売却代金により返済される不動産担保ローン⇨本当に近々売却予定があるのか、どのような売却予定計画なのか、売却と同時にどこに住む予定なのか、不動産媒介会社を利用しているのか等をお聞きします。
- 個人事業主に対する貸付⇨現に事業をされていることの確認や事業計画、返済計画、収支計画などを確認します。創業資金に対する貸付⇨創業するために今までの実績や経験、事業計画、返済計画、収支計画などを確認します。
ご相談・お申込みはアライアンス株式会社の公式ホームページまで。
8. まとめ:賢く安全に資金を調達するには
「総量規制オーバーでも借りれた!」という事例が示すように、合法的に安全な借入方法は確かに存在します。闇金や違法な手段に走る前に、
- 総量規制の対象外を理解する
- 不動産担保などの資産を活用する
- 貸金業登録のある正規業者に相談する
この3つのポイントを押さえて、計画的に資金調達を行いましょう。
借入はあくまで一時的な手段であり、返済計画を持った上で利用することが大切です。
アライアンス株式会社では、あなたの状況に合わせた最適な借入方法をご提案します。
執筆者:石川 慶(行政書士・宅地建物取引士・貸金業務取扱主任者)
