親の介護で退職?資金調達の選択肢と注意点を解説

親の介護が必要になり、仕事との両立が難しくなって退職を考える人は少なくありません。しかし、退職後の生活費や介護費用をどのように確保するかを考えずに決断すると、経済的な負担が大きくなる可能性があります。本記事では、退職を決断する前に考えるべき今後の老後資金や生活資金の準備。突発的に急な入り用に対しての方法として、親やご自分の共有・持分を担保にした借入や資金調達について解説します。

親の介護
目次

1. 退職後に直面する資金問題

1.1 収入の減少

退職すると当然ながら給与収入がなくなります。デザイナーや士業、自由業は自宅のパソコンとオンラインでできる仕事もあるかもしれませんが、収入が安定するまでは相当経験と時間が必要です。退職して失業保険を受け取れる場合もありますが、受給期間は限られており、長期の介護には不十分です。また、将来的な年金額にも影響を与えるため、慎重な判断が必要です。ご家庭におかれている状況がそれぞれ違うので唯一の正解などありませんが、大幅な収入の減少の判断は避けた方が良いです。

1.2 介護費用の負担増

親の介護には、施設入所費用や在宅介護サービスの利用料、医療費、日用品の購入費など、継続的な支出が発生します。もちろん介護保険によって自己負担分は抑えられますが、介護保険でカバーされない費用を自己負担する場合、月々5万~10万円程度かかることも珍しくありません。

特別養護老人ホームや介護施設に入所する場合も、施設のグレードや介護度、ユニット費用、個室などにより月々の費用が発生します。親の年金を当てても月々10万から15万ほどや別途かかる場合もあります。

1.3 再就職の困難さ

20代とは違い40代、50代の方が一度退職してしまうと、再就職のハードルが高くなります。特に、長期間介護に専念した後では、ブランクが問題となり、希望する職種に戻るのが難しくなることもあります。

2. 退職後の収入を確保する方法

2.1 まとまった退職金を元手に投資信託など

ある程度まとまった退職金などを手にする場合、その退職金を元手に投資信託や投資をしながら収入を確保する方法もあります。ただし投資には元手を失うリスクを常に念頭に置きながら運用する覚悟が必要です。

メリット

  • 自宅にいながら投資が可能
  • 介護費用の確保に活用できる
  • 退職後の生活資金としても利用可能

デメリット

  • 自己責任なので元手が0になるリスクがある
  • だまされるリスクがある。

2.2 親が所有する不動産を担保に老後資金を借入

親が単独で所有している不動産を担保にして、資金を調達する方法(リバースモーゲージ)もあります。リバースモーゲージは、高齢者の自宅を担保にしてお金を借り、借入人が亡くなった後に不動産を売却して返済する仕組みです。不動産の評価額に応じて、まとまった金額を借りることが可能です。

活用事例

  • 親が所有する家を担保に資金を借り、在宅介護費用を確保
  • 老人ホームの入所費用を捻出
  • 退職後の生活資金として利用

この方法であれば、仕事を辞めても資金の心配をせずに介護に専念することができます。

2.3 退職する前から個人事業主として生きて行けるスキルをコツコツ身につける

退職する前の数年前から個人事業主として生きていけるスキルを今から習得していきましょう。毎日1時間から2時間の学習を数年続けていくとやがて塵も積もれば山となって大きな力となるでしょう。

メリット

  • 個人事業主として収入確保ができる。
  • 介護と仕事の両立の可能性がある。

デメリット

  • 独立したら必ずしもお客様から仕事が自動的にもらえるわけではない。
  • 割に合わない仕事がたくさんある。

3. 退職前に資金計画を立てることが重要

介護のために退職を決断する前に、まずは生活できるスキルと生活の資金計画を立てましょう。以下のポイントを押さえておくと、より安心して介護に向き合うことができます。

3.1 収入と支出の見直し

  • 退職後の生活費を試算する
  • 介護にかかる費用を具体的に計算する
  • 利用できる公的支援(介護保険、助成金など)を確認する
  • 飯が食える資格試験やスキル習得を今から準備していく

3.2 相談窓口を活用する

  • 介護施設やケアマネージャー、市役所の高齢化窓口に相談し、必要な支援を確認
  • 金融機関に相談し、最適な資金調達方法を検討

4. まとめ

親の介護のために退職を考える場合、独立できるスキルと資金計画が重要です。会社員としての給与収入がなくなった後の生活費や介護費用をどのように確保するかを事前に検討することで、経済的な不安を軽減できます。

親の共有持分を担保にする方法や、親の所有する不動産を活用することで、無理なく親の介護費用を捻出して、ご自分の生活を両立することが可能です。またご自宅で親を介護する選択もあれば、特別養護老人ホームや介護施設に親を預ける方法も一度検討することもおすすめします。昔と違い施設の環境と質も格段よくなっています。この場合は今現在の職を退職せずに、足しげく親の面会を行くことにより仕事との両立も図れます。まずは親の介護のために退職を決断する前に、いろんな選択肢があることを知って一度専門家に相談し、最適な選択肢を検討してみてください。

執筆者:石川 慶(行政書士・宅地建物取引士・貸金業務取扱主任者)

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